脳梗塞リハビリの基礎知識

吃音(きつおん)のリハビリ

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こんにちは、言語聴覚士の岸村です。
今回は、吃音(きつおん)のリハビリについてお話したいと思います。
リハビリといっても、吃音にはまだまだ分からないことも多く、情報化社会の現代ではネット上に様々な情報が錯綜しています。
医学的に正しい情報は何なのか、世の中にどんな吃音のリハビリがあるのかについてご説明していきたいと思います。

吃音の種類

  

吃音には、大きく分けて「発達性吃音」と「獲得性吃音」があります。一般的に「吃音」というと「発達性吃音」を指すことが多く、「獲得性吃音」は脳血管障害の後遺症によるものや心因性の吃音を指します。以降は「発達性吃音」のことを「吃音」と表記します。

小児の場合、吃音の有病率は人口の5%と言われており、男女比やや男児に多い傾向があります。吃音のある子どもの内、大体5割ぐらいは自然回復するといわれていますが、大人になるまで吃音が残る場合もあります。成人の有病率は人口の1%と言われ、圧倒的に男性に多い傾向です。

つまり、女児の吃音は自然に治りやすいということですね。また、言語療法を行うと、自然回復率が5割から7割に増えると言われています。

吃音の原因

原因については未だにはっきりしませんが、当事者の身体や精神に異常がある等といった、当事者本人が原因となることはありません。また、親の躾や関わり方の問題といったことも、現在では否定されています。親御さんの責任ではありません。

医学的には、遺伝子に何らかの原因がある可能性が高いと言われています(仮に吃音の人に子供が7人いたら、そのうち1人は吃音になる可能性があるぐらいの確率)が、遺伝要因だけでなく、発吃しやすい環境要因が合わさることが原因だと考えられています。

研究が進めば、将来的に吃音の原因が特定される日がくるかもしれません。

吃音の症状

よく、「連発型」とか「難発型」といった表現をされる場合がありますが、吃音の症状や重症度は、本人や臨床家の捉え方によって異なります。私は吃音進展段階を用いて吃音を評価していますので、症状は本人の意思と関係なく出現する「中核症状」と、どもらないように本人の意思で行動する「二次的症状」に分かれ、「二次的症状」の方が重い症状であると考えます。

いわゆる「ことばが詰まる」というブロックの症状は、わりと初期の吃音から出現する症状ですが、その段階では本人にとって苦痛ではありません。「ことばが詰まる」ことが嫌だと思うようになるのは、吃音への否定的価値観が強まり、話すことへの苦手意識が強まってくるからです。すると、吃音の症状をコントロールしようと行動します。うまく話そうともがけばもがくほど、声はどんどん出辛くなります。それが工夫・回避といった「二次的症状」が出現する、進展段階後半の吃音です。

吃音の重症度は、表に出てくる「ことばが詰まる」頻度の多い少ないではなく、本人がどれだけ困っているかを基準とします。

吃音のリハビリ

先にお話したように、吃音の原因は未だ不明です。したがって、薬や手術のような根治療法はありません。すべての吃音の治療法・訓練法は対症療法です。対症療法では、治療目標をどこに置くかによってアプローチが変化します。

世の中に多く認知されている方法は、「直接法」と呼ばれる声を出して話す練習をする方法です。訓練室でスラスラ話す練習をするといえば、イメージし易いでしょうか。直接法の利点は何と言っても効果が分かり易いというところにあります。うまくいけば、少しの練習ですぐに効果が実感できる人もいます。反面、訓練室で練習しても実際の場面では思ったほど効果が実感できなかったり、しばらくすると効果が見込めなくなるという意見もあります。短期間で効果を得たい人向きの方法です。

直接法に対して、訓練室で話す練習をしない方法を「間接法」と呼びます。間接法にも色々な種類がありますが、大まかな目的は日常生活で吃音に悩まされずに話す事を目指すというものです。直接法のように分かり易い効果は望めませんが、徐々に吃音に対する価値観が変わり、吃音の症状が気にならないようになります。時間をかけても、日常生活で吃音のことを気にせず話せるようになりたい人には有効な方法です。

この他にも様々なリハビリの方法はありますが、いずれにしても万人に必ず効果が見込める方法はありません。Aさんが効果を実感できたアプローチをBさんに実施しても、同じように効果が実感できるとは限りません。吃音のリハビリで重要なことは、治療目的をどこにおき、治療効果の再現性がどれだけ見込めるか、という点だと考えます。

最後に

吃音には複数のアプローチ法があり、当事者本人が納得できる方法がベターと思いますが、残念ながら吃音のリハビリを行っている施設はまだまだ少なく、当事者が施設を選べる程ではありません。数少ない有名な施設に問い合わせが殺到し、受診できるまで数ヶ月も待つ必要があることもあります。

私が病院で行う吃音のリハビリは間接法を第一選択としており、当事者とセラピストが直接触れなくてもリハビリをお受け頂けます。この利点を活かした方法が、当センターで行っているオンラインリハビリです。遠方の方でも、病院に来院された方と同じように吃音のリハビリをお受け頂けます。成人の方でも、小さなお子様でもご利用可能です。

もし、興味を持って頂けたり、相談してみたいと思われたら、まずは一度お電話もしくはお問い合わせメールにてご連絡ください。

更新日:2022/12/26

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